pseudo-synesthesia

共感覚というのとは違うと思う。


感覚の崩壊、感覚の幽体離脱
感覚の憑依・融合・置換・弁証法アウフヘーベン
どう表現したらよいのかわからない。


音が見える。
色が聞こえる。
形が臭う。
匂いが聞こえる。
音が痒い。
色がくすぐったい。
匂いが眩しい。


朝起きた瞬間から、何かが脳内で滑り始めた。


頭蓋骨の内壁をサーカスのバイクのように、
くるくる、からから青い塊が回り始めて、
耳から飛び出して、天井にぶつかって、弾けて、
臭い茶色い結晶を撒き散らして、部屋中が腐り始めて、
部屋が蠕動しながら、私にのしかかって、
胸が臭って、目の奥が痒くて、
時間が泡を吹きながら舞い落ちるのを、肛門のほうから見ていると、
僕のすべては蟻の耳を齧っているのだ。


私は自分がバナナマンの日村であるような気がしたが、
もしかしたら、太宰治にそっくりと赤坂の芸者のみつさんに言われて、
有頂天になって、莫迦な小説を書いて、芥川賞がもらえると信じ込んでいたら、
うっかりノーベル文学賞を受賞してしまって、がっかりして、
ブログに遺書代わりの日記を残して、多摩川縁の工事用便所に、
カピバラと手に手をとって、飛び込んで死んだ男かもしれない。