プルチャン語

プルチャン語をご存知だろうか。
あまり知られていないと思うが、名前くらいは、ご存知の方もいるかもしれない。


学生時代、シャンソンを原語で歌いたくて、フランス語を勉強した。
レッスンもすべてフランス語という専門学校に、通ったりまでした。
実用に耐えるだけの会話力は、身につかなかったが、所期の目的は、それなりに達したといえる。


相前後して今度は、ドイツオペラを原語で歌いたくなる。
必修の第2外国語にドイツ語を選択し、この目的も、ほぼクリアできた。


当時の私は、日常に最も役に立たないものを、あえて志向するという、へそ曲がりだった。
語学で言えば、古典語などは、その最たるものであろう。
専門家になるのでもなければ、まず実用性はない。


ギリシア語とラテン語の講義を取っていたのであるが、前者はソクラテス時代の古代ギリシア語。
今のギリシアでは通用しない。
現代の日本で、源氏物語の言葉遣いをするようなものだ。
いや、もっと遡って、卑弥呼が話しているようなもの、と言ったほうが近いか。


ほかに、その時々の関心の赴くままに、イタリヤ語やスペイン語チベット語なども、
齧ったりしている。


以上のうち、唯一フランス語は、けっこう本格的に勉強して、それなりの成果は挙げたのであるが、ほかはまったく、中途半端なものに終わった。
今は影もない、とまでは言わないが、脳の中に残滓をとどめるばかりである。


さて、そこで、プルチャン語だ。
さまざまな言語を、ごっちゃにしたような言葉だ。
名称の由来は、しかし、チャンプルーとは関係ない。
人名である。
中国系アメリカ人のプル・チャン博士が、考案した新言語なのだ。


英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語など、欧米系諸言語をベースとし、
それに古典語、チベット語、秋田弁、栃木弁などを加味して調製した、「いいとこ取り」みたいな言語。
もちろん、エスペラント語のような、新たなる世界語を目指している。


私はそのプルチャン語を、昨夜の夢の中で、自由自在に駆使していたのである。


「こんにちは」はプルチャン語で…


あっ、もう忘れた。